このままじゃブラック企業!採用してもすぐ退職スパイルを断ち切れ
移転して1年が経過した。
お客様数は移転直後に比較すると3倍以上に膨れ上がり、売上もそれに伴い倍以上になっていた。
物販の販売などやめたこともあり、売上前年比はさほど上昇しないかと思っていたが結果としては倍以上となった。
そのため、僅かではあるが利益が出るようになっていた。
人件費、家賃、販売管理費が主なコストとなるような利益率が高いビジネスモデルに変更したことが功を奏した。
何しろ万年赤字続きだったのだ。
しかし、借入れの返済など前時代の負の遺産があまりにも大きく儲かっている感が全くない状態が続いている。
相変わらず、「なんとかしないと・・・」が口癖となっていた。
売上を増やす必要があったが、現状のスタッフはもう完全に限界値を超えている状況。
新しいスタッフを大幅に増加して体制を立て直すことに迫られている状況だった。
そこでスタッフ募集を開始した。
ここが危機の入り口だった。
スタッフ募集の形態は業界によって違う。
リクナビやマイナビを利用できるような業界もあれば、その業界特有の媒体を利用しなければ募集が集まらないものもある。
僕たちの業界は後者だった。
だから、業界専門の媒体に掲載しスタッフを募った。
募集する人材像は次のようなものだった。
- ・ スキルの高い即戦力
- ・ 経験年数が長い
- ・ 新卒、経験値が低い場合は不採用。ポテンシャル採用もなし
これは業界に関わらず大抵の場合、移転のための増員や新規出店に伴う増員といったキャッチコピーがあるとスタッフの応募は増える。
新しい環境で出発する店舗への方が馴染み易いからだ。
そのためか、転職が活発な季節ではなかったがスキルの高い方からの応募者が多かった。
お店は、まだ経験の少ないスタッフのスキルを育てるような環境にない。
だから即戦力となる人物を探していた。
しかし、結果的にこの判断が足を引っ張ることになる。
僕達は気づいていなかったのだ。
移転してから急激にお客様が増加し、それに対応するためにスタッフのオペレーションが改善されていった。
そして1年足らずで独自のオペレーションの域に達していたことを。
スタッフ1人1人が抱える仕事量も覚える仕事内容も業界のレベルからかけ離れている状況になっていた。
しかし、走り続けてきた僕らにはそのことを理解していなかった。
その当時の状況はでは転職者はOJTで仕事になれることは難しいかったのだろう。
きっと転職者には、他の業種で働いているように感じることがあったかもしれない。
だから、転職者はどんどん辞めていった。
僕らは、業界で必要な高いスキル=転職者に求めているスキルではないことに気づいた。
だから、採用基準や雇用条件で業界基準という考えを捨てることにした。
賃金や休日などの雇用条件は大きく改善。採用基準も改めた。
スキルは高いに越したことはないが、人間性を重視することにした。
また、採用方法も変えることにした。
今までは業界専門の求人媒体を利用していたが、SEOやWEB広告で募集して自社求人ページへ誘導した。
求人ページには求める人物像や業界の将来像、そしてお店のオペレーションについても細部まで掲載した。
僕はお客様の集客方法をそのままスタッフ採用に用いることにした。
これはスタッフ採用マーケティングとでも呼ぶことにする。
面接時にも他店との違いを説明する時間をしっかりと作り納得(きとんと転職がイメージできている状態)してから入社してもらった。
こうすることで、採用後の離職率が激減した。
スタッフ採用マーケティングで集まった従業員はそれ以前に比べて人間性がとても良くなったことは正直驚いた。
あまりスキルがなかった人も短期間で技術力が上がるような環境もなったため、入社時のスキルにこだわらなくてもよくなった。
サービス業は人が命。
人材が売上に直結する。
だからこそ、サービス業の採用ほど難しいものはない。優秀な社員の定着率は生死に関わる問題だ。
僕らは、この問題をクリアすることで次の次元へ再び飛躍することができた。
「実話公開編 倒産危機から人気店へと成長させた全12話」カテゴリの最新記事
1. プロローグ
2. 家賃滞納で立ち退き強制執行までカウントダウン!決断の時が来た
3. 経営戦略の再構築!?それが僕らの唯一の生存方法だった
4. 3つの経営戦略が人気店へのスタートラインになった
5. 幸運到来!?移転先の店舗物件が奇跡的に見つかる
6. 2つの秘策!戦う前に勝つことを徹底せよ
7. マーケティングがあたった!強制退去からの起死回生
8. 集客は競合店の離客を徹底的に狙え!競合店への侵食は潜んでやるべし
9. フリー戦略を実店舗に導入!成功した無料サービスてんこ盛り作戦はコレだ
10.このままじゃブラック企業!採用してもすぐ退職スパイルを断ち切れ
11.競合に真似されるようになった嬉しいこと?悲しいこと?
12.最終章、そして売上は5倍に。倒産の危機から業界のトップへ