経営戦略の再構築!?それが僕らの唯一の生存方法だった

僕は翌日に経営者とスタッフに向けて長いメールを書いた。

それは、再度この場に及んで足掻いてみようという旨のメール。

そして、足掻いてみる価値が残されている理由をマーケティングがわかっていない人でも完全に理解できるように説明した。

そして、ここが大事なのだがメールには報酬に関してのことは一切書かなかった。

もちろん書いたところで何の期待もできない事はわかっていたが、今回はただのおせっかいとして再建してみたい気持ちがあったからだ。

前日にお店を再建してみる決意をした僕は、徹底的にWEB分析を行った。

WEBマーケティングをかじったことがある人であればわかるかもしれないが、実店舗として運営しているビジネスの場合、WEBサイトが効果的に使えるジャンルのものとそうでないものがある。

この店はあきらかに後者だった。

そのジャンルに関しての検索数が少ないのだ。

通常、検索数に関しては次のように調査する。

地域名＋お店のジャンル

渋谷区の文房具だとしたら、「渋谷　文房具」「渋谷　文房具店」といったように。

僕が調査した検索数では到底再建することはできないと判断した。

再建するには、かなり思い切った決断が必要だ。

何しろもう時間がない。強制執行のタイムリミットはもうすぐ。

グズグズしている時間はない。

そのため、単純なWEBマーケティングだけではなく店舗戦略そのものを最初から考えることにした。

マーケティングをいくらいじっても店舗戦略そのものが間違っていたら全く結果が出ないのは経営の原理原則。

商売は原理原則に従わなければならない。

だから僕は店舗戦略ならびに経営戦略そのものを再構築することにした。

経験上、以下の３つ条件さえ整っていれば経営戦略が間違っていなければ再建できる。

１．従業員のスキルが平均値以上

２．経営者が経営戦略を変える度量がある

３．同業他社で成功している会社が既にある

幸運にも上記３つの条件を満たしていた。

そして現在運営してるサービスの中に成功している同業他社が存在している。

この場合、やることは一つだけ。

それは「オセロゲーム」。

他店の客を奪い自社の客にすること。

オセロのように一つ一つひっくり返す。

それが唯一の生存方法。

経営戦略はこれを全てとした。

通常日本の会社では経営戦略があってそれにマーケティング戦略が紐づく。

しかし、全く逆のことをした。

マーケティング戦略そのもを経営戦略とすることにした。

これは選択と集中なんて甘いものじゃない。

それは体力がまだある企業がやることだ。

体力なんて既になく全身病気に蝕まれているような企業は全身火の車となって敵にぶつかっていかなかれば勝てないのだ。

そうすると色々なことが浮かんできた。

必要なこと、切り捨てること。

経営戦略を練り直すことによって僕の中にやっと一筋の光が見え始めた。

その一筋の光をメールで経営者とスタッフに伝えた後、僕は下が擦り切れるぐらいに根気強く説明した。

僕は、重要なことを伝える場合、まずメールでわかりやすく説明する。

そして実際にあって話すという手順を用いることにしている。

メールで、ある程度イメージを持ってもらったほうが話を理解してもらえるし、経営戦略やマーケティングの話はどうしても資料が必要になる。

資料に目を通すだけで話を聞いていないような状況を作りたくないからだ。

実際に会って話した時には、経営者もスタッフもある程度覚悟を決めていたように感じた。

何度も何度も送ったメールを読み返したように思えたし、情熱が伝わったように思えた。

経営戦略の話をしている時に経営者とスタッフの顔がいくぶんか明るくなっていくのが見えた時、無性に嬉しかったことを今でも覚えている。

経営戦略の話をした時、僕は「経営戦略、マーケティング」といった経営用語・マーケティング用語は一切使わず話した。

あくまでも、リサーチしたまだ結果をわかりやすく、できるだけシンプルに話して自分たちにはまだチャンスがあることを伝え、他店のスタッフを見た時に感じた感想などを飾らず素直に話した。

話し終わった頃には、皆の表情が晴れ晴れとしていた。

その時、下を向いている者は1人もいなかった。

人間、覚悟を決めた顔がこんなに美しく頼もしいものかと初めて思った。

正にその瞬間、全員で腹をくくったのだ。

後は、経営戦略を迅速に実行するだけだった。

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